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国立大学医学部に学士編入した医学生のブログ。

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【感度と有病率】インフルエンザの検査で陽性が出たら、何%で本当に罹患しているか計算してみた。

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こんにちは。

今回は「もしあなたがインフルエンザ検査キットで陽性だったら、どのくらいの確率で本当にインフルエンザなのか」という内容です。
このテーマは大学の講義の内容で、少し意外で面白かったのでお話します。

感度や特異度などの臨床疫学・統計のお話なので、学士編入試験にももしかすると出題されるかもしれません

インフルエンザの検査という身近な例で説明するので息抜きにでも読んでみてください。
統計で用いる言葉の定義も説明しています。

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疫学の言葉の定義を説明

まずは疫学で用いる言葉の定義を説明していきます。
編入受験を予定している方は読んでみてください。
その他の方は飛ばしても大丈夫です。

 

感度とは

「 疾患がある場合に検査が陽性である確率」のことです。
つまり感度が高い検査は、スクリーニング検査といった、疾患を見逃さず拾い上げる必要がある場合に有効です。
疾患を持つ人を10人集めて検査をし、8人が陽性になったら感度80%の検査となります。

 

特異度

「疾患がない場合に検査が陰性である確率」のことです。
特異度が高い検査は、疾患を確定させる確定診断の際に有効です。
疾患がない人を10人集めて9人が陰性となったら感度90%の検査です。

 

陽性反応的中率

「検査が陽性の場合に疾患がある確率」です。
感度とややこしいですが、今回の記事ではインフルエンザの場合の陽性反応的中率を計算していきます。
検査が陽性となった人が10人いたとして、本当に疾患がある人が7人なら陽性反応的中率は70%となります。

 

陰性反応的中率

「検査が陰性の場合に疾患のない確率」です。
検査が陰性となった人が10人いたとして、本当に疾患が無い人が6人なら陰性反応的中率は60%となります。

有病率

「ある一時点において、疾患を有している人の割合」です。
クラス40人中、ある一時点でインフルエンザ患者が4人いたら、そのクラスのインフルエンザ有病率は10%となります。

インフルエンザ検査で陽性だったら何%で的中しているか?

では上記で説明した用語を用いながら、インフルエンザの陽性反応的中率を計算してみましょう。

有病率・感度・特異度を設定する

インフルエンザの有病率は、2019年1月21日~1月27日での推定患者数(222万人)を参考にすると、日本の人口を1.27億人として、
有病率=222万/1.27億×100≒1.75%となりました。

※本来有病率はある一時点の数字を用いるのが望ましいのですが、調べた限り週ごとの患者数しかなかったため、この数字を用いました。
参考:https://nesid4g.mhlw.go.jp/Hasseidoko/Levelmap/flu/2018_2019/2019_04/jmap.html

 

感度と特異度に関しては、

迅速診断キットの感度は60-70%、特異度は97-99%と報告されている。
参考:インフルエンザ | 今日の臨床サポート - 診断・処方・エビデンス -

こちらを参考に、感度を65%、特異度を98%とします。
では陽性反応的中率を計算していきましょう。

 

2×2表を作って陽性反応的中率を計算する

陽性反応的中率の計算のためには2×2表というものを作成する必要があります。
2×2表とは、

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この様な表で、疫学を勉強すると必ず出てきます。

今回求めたい陽性反応的中率は、
検査が陽性で本当に疾患がある人数/検査陽性人数=a/a+bで求めることができます。

では全体の人数(a+b+c+d)を10000人として、前提条件から各項目を求めていきましょう。
ここから少し難しいです。

まず有病率1.75%を用いると、疾患ありの人数(a+c)は10000×1.75%=175人となります。
そうすると、疾患なしの人数(b+d)は10000-175=9825人となります。
ここまででこうなります。

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次に感度(疾患がある場合に検査が陽性である確率)を65%とすると、
a=175×65%=113.75人となります。(少数点を含んだ数字となりますが、今回はこのまま計算します。) 
またc=175-113.75人=61.25人となります。

同様に特異度(疾患がない場合に検査が陰性である確率)を98%とすると、
d=9825×98%=9628.5人となり、
b=9825-9628.5=196.5人となります。


これでa~d全ての数字が出たので表に入れてみると、

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陽性反応的中率を計算すると、
検査が陽性で本当に疾患がある人数/検査陽性人数=113.75/310.25×10036.7となります。

意外にすごく低い数字じゃないでしょうか?
有病率が1.75%の場合には、インフルエンザ検査で陽性となっても、本当にインフルエンザに罹患している可能性は3割くらいとなるんです。

感度65%、特異度98%と一見すると、精度の良い検査のように思えますが、実際に計算してみないと本当の精度はわからないものなんだなと思いました。
何事もぱっと見の印象で判断せず、計算できる材料があるときは、きちんと計算してみると意外な結果が得られるかもしれないですね。

ちなみに、この2×2表を覚えておくと、色々な疫学の問題に応用できるので、医学部生や編入受験生は絶対覚えて損はないです。

 

まとめ

・インフルエンザ検査陽性でも有病率が低ければ、実際に罹患している可能性は意外と低い。
・2×2表は疫学に必須の知識なので、覚えると色んな場面で使えます。


※確認はしていますが、計算ミスしていたら教えていただけるとありがたいです。

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